「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~すべての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)
ここでは、子供たちの学習環境を保障するために、国は人的資源と物的資源を整備する役割があり、学校は地域住民との連携・協働して子供たちの成長を支えていくことが明示されています。
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「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性
●全ての子供たちの知・徳・体を一体的に育むため、これまで日本型学校教育が果たしてきた、
➀学習機会と学力の保障
②社会の形成者としての全人的な発達・成長の保障
➂安全安心な居場所・セーフティネットとしての身体的、精神的な健康の保障
を、学校教育の本質的な役割として重視し、継承していく。
●教職員定数、専門スタッフの拡充等の人的資源、ICT環境や学校施設の整備等の物的資源を十分に供給・支援することが国に求められる役割。
●学校だけでなく地域住民等と連携・協働し、学校と地域が相互にパートナーとして一体となって子供たちの成長を支えていく。
●一斉授業か個別学習か、履修主義か修得主義か、デジタルかアナログか、遠隔・オンラインか対面・オフラインかといった「二項対立」の陥穽に陥らず、教育の質の向上のために、発達の段階や学習面等により、どちらの良さも適切に組み合わせて生かしていく。
●教育政策のPDCAサイクルの着実な推進。
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PDCAサイクル
「カリキュラム・マネジメント」については、これまで、教育課程の在り方を不断に見直すという下記②の側面から重視されてきているところである。(教育課程企画特別部会)
「社会に開かれた教育課程」の実現を通じて子供たちに必要な資質・能力を育成するという新しい学習指導要領等の理念を踏まえ、これからの「カリキュラム・マネジメント」については、以下の三つの側面から捉えられる。
➀各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
②教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
➂教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。
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PDCAサイクルは、アメリカの統計学者でコンサルタントのウィリアム・エドワード・デミングらによって開発された、統計に基づく工程管理の手法です。
この手法が、人材マネジメントや経営に活用されるようになり、教育にもあてはめていこうという試みなのです。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(対策・改善)
の4ステップを順に繰り返し、ActionからPlanに戻りこのプロセスを循環しつづけることで目標達成や業務改善を行うフレームワークです。
Plan(計画)段階:目標や優先順位やスケジュールを明確にする
Do(行動)段階:プランに基づいて行動する
Check(評価)段階:以下の点を振り返り、確認する
・プラン通りに進んでいるか
・正しい行動が取れているか
・他に良い選択肢はないか
・目標達成ができているか
Action(対策・改善)段階:プロジェクト改善やプロセス改善を全面的に展開する
→必要ならば、計画段階に戻り、継続的な改善を試みる
【PDCAサイクルのメリット】
成績評価をあてはめて考えると、目標設定や目標に対しての評価管理、児童生徒の学習データや成長記録の蓄積も可能にし、個別の評価実施からデータ集計までをワンストップで実現することができます。また、評価基準や評価プロセスの見える化によって、個別の学習状況の改善や、評価の向上の役に立ちます。
【PDCAサイクルの問題点】
PDCAサイクルは、過去の経験や状況に基づき改善策を導き出す手法です。
このプロセスは過去のやり方を踏襲し、成功事例に依存しやすい側面があります。
異なる視点や革新的なアプローチが求められる変化の激しい現代社会においては、繰り返される従来の方法が通用しなくなる可能性があります。教育現場における複雑化する諸問題への対処が困難となります。
そのため、教育現場においてはPDCAサイクルと異なる手法や戦略の検討が必要です。
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